老後の生活費、子供の教育費…将来への不安を抱えているご家庭も多いのではないでしょうか。
リフォーム費用も大きな出費です。
もし、リフォーム資金を親族から援助してもらえるとしたら、どんな方法があるかご存知ですか?
贈与税の心配なく、スムーズにリフォームを進めるための方法を、この解説でご紹介します。
リフォーム資金の贈与税対策
*贈与税非課税制度の条件
リフォーム資金の贈与を受けた場合、贈与税がかかるケースがあります。
しかし、住宅取得等資金の非課税制度を利用することで、一定の条件を満たせば贈与税を免除できる場合があります。
この制度は、リフォームの内容が耐震性向上、バリアフリー化、省エネルギー化など特定の工事であること、リフォーム工事費用が100万円以上であることなどを含む、いくつかの条件を満たす必要があります。
具体的には、贈与を受ける人が贈与者の直系卑属(子や孫)であり、その年の合計所得金額が2,000万円以下であること、リフォームを行う人が所有し居住する住宅であること、リフォーム後の床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下であることなど、様々な条件があります。
また、消費税率の変更前後などは、非課税枠の金額が変わる可能性があるので注意が必要です。
*非課税枠の計算方法
非課税枠の上限は、リフォーム契約日や工事完了日、そして住宅の性能によって異なります。
「良質な住宅」と認められる場合は、非課税枠が拡大されます。
「良質な住宅」とは、省エネ基準や耐震基準を満たす住宅を指します。
例えば、消費税率が8%の適用を受けた住宅で、平成28年1月から令和2年3月までに契約した工事の場合、一般住宅では810万円(700万円+基礎控除110万円)までが非課税となります。
消費税率が10%になった後の契約では、非課税枠はさらに拡大されます。
具体的な金額は、その時々の税制改正によって変わるため、必ず最新の情報を確認しましょう。
*贈与税の申告方法
贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までに、税務署へ贈与税の申告が必要です。
申告には、所得金額を証明する書類、戸籍謄本、戸籍附票の写し、住民票の写しなどが必要となります。
また、リフォーム工事の契約書や工事証明書なども必要になる場合があるので、事前に準備しておきましょう。
確定申告書や計算明細書は税務署で取得できますが、登記事項証明書は登記所で、増改築等工事証明書は建築士に作成を依頼する必要があります。
手続きは複雑で手間がかかりますが、高額な税金を節約できる可能性があるため、専門家への相談も検討しましょう。
相続時精算課税制度の活用
*制度の概要と適用条件
相続時精算課税制度は、高額な贈与税を一時的に軽減し、相続の際に精算する制度です。
原則60歳以上の直系尊属から18歳以上の子または孫への贈与が対象で、2,500万円まで贈与税が非課税となります。
ただし、この制度は一度選択すると暦年課税に戻ることができません。
また、将来相続税が高くなる可能性があるため、長期的な視点での検討が必要です。
2024年以降、年間110万円以下の贈与であれば確定申告が不要になりました。
*相続時精算課税の計算
相続時精算課税制度では、2,500万円まで贈与税が非課税となります。
2,500万円を超えた分には、一律20%の贈与税が課税されます。
この制度を利用する場合は、贈与された財産の使い道は自由ですが、将来相続税が発生する可能性があることを考慮する必要があります。
相続税の計算では、相続時精算課税制度で非課税にした財産も相続財産に含まれます。
*相続税との関係性
相続時精算課税制度を利用すると、贈与税は軽減されますが、相続税の負担が増える可能性があります。
相続税の計算では、生前贈与された財産も相続財産に加算されます。
そのため、相続税の基礎控除額を超えるような高額な相続財産がある場合、相続時精算課税制度の利用はかえって税負担を増やす可能性があります。
相続税対策も考慮した上で、制度の利用を検討する必要があります。
専門家への相談が重要です。
まとめ
リフォーム資金の贈与に関する税制は、贈与税非課税制度と相続時精算課税制度の2つが主な選択肢です。
贈与税非課税制度は、リフォーム工事の内容や金額、所得制限などの条件を満たす必要があります。
相続時精算課税制度は、高額な贈与に適用され、相続時に精算されますが、将来の相続税負担増加の可能性も考慮する必要があります。
どちらの制度を利用するかは、個々の状況や将来の計画によって異なります。
そのため、税理士などの専門家に相談し、最適な方法を選択することが重要です。
事前に計画を立て、必要な書類を準備することで、スムーズな手続きを進めることができます。
安心してリフォームを進められるよう、専門家のアドバイスを積極的に活用しましょう。